まさか、革じゃなかったとは!? 開発者の話に衝撃連発! 新型「三菱 デリカミニ」試乗記

まさか、革じゃなかったとは!? 開発者の話に衝撃連発! 新型「三菱 デリカミニ」試乗記

2025年12月26日

先代のビッグマイナーチェンジで誕生した、SUV系トールワゴンの「デリカミニ」。フルモデルチェンジで2代目に進化しましたが、どのあたりが変わったのでしょうか。三菱の開発スタッフに直接伺った話も交えながら、試乗リポートをお送りします。

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◆登録車顔負けのクオリティ

デリカミニは、その名の通りデリカ系の最小サイズとして初代が2023年に登場。eKシリーズのマイナーチェンジを機会に、eKクロススペースの代わりとして導入されました。まだ市場的にも珍しい存在でもある、MPV(マルチパーパスビークル)+SUVとのクロスオーバーとして高い人気を誇るデリカシリーズですが、軽自動車にもそのエッセンスを投入していることがデリカミニの大きな特徴となっています。

SUVらしいラギッド感あふれるエクステリアデザインは、2代目にもしっかりと受け継がれました。特徴的な半円形のデイライトをはじめとするヘッドライトユニットやフロントグリルが拡大しているなど、実際、新旧で並べて比較するとだいぶ大きく変わっていることがわかります。Aピラーの角度が起こされ、より前方に配されたこともトピックです。これは室内に乗り込んだ時に広さを感じる部分でもあります。

そして、乗り込んですぐに気付くほど質感の高いインテリアも、オーナーの満足感を高めるポイントです。軽自動車に乗っていると忘れさせるほどのクオリティが、至る所に見受けられます。

兄弟車の日産ルークスにも採用されていたステアリングホイールも、その一部。これは本革ではなくウレタンに近い素材の合皮だと開発者から聞き、2度驚きました。よりきめの細かい合成素材を使うことによって手に馴染みやすくしていることが特徴で、実際に握って運転すると高級車のステアリングを握っているかのような感覚になります。

◆後席でも静かで乗り心地良好

いざ走り出すと、先代よりも明らかに向上している室内の静粛性と乗り心地のよさに驚きました。今回のモデルチェンジでマイルドハイブリッドを省いた純ガソリンエンジン仕様へと変わっていますが、エンジンの唸り音が響くこともなく走行時は快適そのもの。試乗は知り合いのライターさんと2人で行いましたが、前後の席間での会話は普通の音量ではっきりと聞き取れるほど、室内は静かに作られています。静かすぎて、逆にタイヤからのロードノイズが気になる場面もあったほどです。

乗り心地に寄与するサスペンションセッティングは、ルークスとは違うデリカミニ専用となっています。ダンパーにKYB製の「Prosmooth」が採用され、滑らかかつしなやかな動きを実現。ストローク不足も感じさせず、自然なロールを伴った動きが好印象でした。

そして、乗員の身体をしっかりと受け止めるシートの質感も絶妙でした。表皮にはジャージに近い素材が使われ、身体の形状に馴染みやすく作られています。クッション性も十分確保され、軽自動車とは思えない乗り心地のよさが感じられました。

この乗り心地のよさは、前席だけでなく後席で感じられたことも大きなポイントです。頭の揺れが抑えられた快適な乗り心地は、同乗者の乗り物酔いもしにくくなるでしょう。

前進したAピラーの効果は、運転のしやすさに大きく寄与しています。一番前のピラーが細く作られているため、死角が抑えられ視界は広く感じられます。車両感覚が掴みやすくもなっていますので、運転があまり得意ではない人も安心できるポイントといえるでしょう。

運転中、ステアリングが少々軽すぎるかと感じられた部分もありましたが、開発者いわく「電動パワステのセッティングはほぼ手付かずだった」そう。もう少し三菱車らしい手応えの強さが欲しかったようです。日産も含め、取り回し重視のセッティングだとは思いますが、この辺りは今後の改良点へとつながっていくと考えられます。

先代からの進化が大きく感じられた走りの質感の高さ。このクオリティは、登録車から乗り換える、ダウンサイジングユーザーも十分満足できるレベルといえます。

◆兄弟車ルークスとの違いは??

兄弟車ルークスとの違いも押さえておきましょう。開発者に詳しく伺ったところ、外観ではAピラーから先のフロントマスク部は、すべてオリジナルとのこと。フロントフェンダーもデリカミニ専用となっています。もちろんホイールや、ボディサイドパネルもオリジナル。テールランプ周り部だけはルークスと共通となっています。

ほかには、ダイヤル式のドライブモードセレクターや、メーターのグラフィックなどもデリカミニだけの装備となっています。特にドライブモードは、ノーマル/エコ/パワーに加え、グラベル/スノーも選べる5種を設定。スロットル開度やCVTのシフトマッピング、トラクションコントロールやブレーキ制御などを変化させ、運転のしやすさをアシストしてくれます。特に三菱独自のグラベルとスノーは、その名の通り未舗装路や雪道で大いに役立つ装備だといえるでしょう。

ソフト面での装備も、インフォテインメントシステムにGoogleを内蔵したり、ADAS(先進運転支援システム)もカメラを駆使したモニターシステムが内蔵されたりと、洗練されているデリカミニ。その内容はクルマ全体的に見ても、登録車と同レベルというよりそれを超えるような、ほぼ欠点のない軽自動車に仕上がっていました。

初月の受注が1万台を超え、スタートダッシュが成功した2代目デリカミニ。キャラクターの「デリ丸」も人気で、購入ユーザーの男女比率が6:4と女性からも好評のようです。日産ルークスとともに、王者ホンダ N-BOXの販売台数にどれくらい肉薄できるか。群雄割拠の軽トールワゴン市場でも、注目の1台です。

<文&写真=青山朋弘>


この記事を書いた人

青山朋弘

【執筆者】青山朋弘

フリーランスライター兼編集者

新車専門誌、中古車専門誌、モータースポーツ誌などの編集部を経て、現在はフリーランスの編集&ライター。
自動車専門誌やWebサイトに寄稿しながら、YouTube動画の撮影・編集も行う。
愛車は10年前に走行5万kmで見つけた、NA型ロードスターの初期型。
趣味のMTBをどうやって積むのがいいか、常に試行錯誤している。

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