リセールの良いクルマとひと言でいっても、いろいろな種類があります。需要が供給数を上まわるというのは大前提にあるのですが、世の中には予想もできないような買取値がつくクルマも存在するのです。そんな世界をちょっとでも見てみたいと思うのが、クルマ好きのサガ。実際にどのくらいの残価率で取引されているかは気になる人も多いのではないでしょうか。
今回紹介する5台も、過去SellCaで実際に買取が行われた高額車両。その希少価値の高さや、慢性的な供給数不足から高価買取されたBMWのクルマにスポットを当てました。このクルマたちがなぜ高価買取されたのか、実際に買取されるリアルをご覧ください。
これから紹介するデータは、 愛車買取オークションSellCaでの出品データからBMW車に対象を絞り、特に高額売却された実績について調査したものです。
調査機関:自社調査
調査日:2018年04月25日~2023年06月30日
調査対象:弊社で取引されたクルマのデータ567件(BMW車に絞って)
調査方法:自社保有データ分析 高額で落札されたものを上から5つ抽出(車種が同じもの、乗用車でないものは除く)
●X6
最初に紹介するのは、大型クーペSUVのX6です。
こちらの個体は
グレード:xDrive35d Mスポーツ
年式:2020年
走行距離:13,066km
というデータでした。新車当時の価格は1069万円(オプション等除く)から。SellCaで実際に落札された価格は、なんと864万円です。
クーペSUVの黎明期からラインナップされてきた、BMW最大のクーペSUVがX6です。この個体は2019年に登場した3代目であり、3.0L直6ディーゼルターボを搭載する人気モデルです。通常より高めな8割以上の残価率を残した理由としては、先述のディーゼルが人気であることに加え、走行距離の少なさ、黒のボディカラーなどが挙げられます。
さらにこれらに加えて、世界的な情勢の影響を受け新車が即納できなかった状況が重なったことも大きかったでしょう。結果的には、大幅プラスの高額買取となっています。
(成約時期:2022年5月)
●8シリーズ
次に紹介するのは、フラッグシップクーペの8シリーズです。
こちらの個体は
グレード:M850i xDrive グラン クーペ
年式:2020年
走行距離:3,988km
というデータです。新車当時の価格は1700万円(オプション等除く)から。SellCaで実際に落札された価格は、なんと1096万円です。
8シリーズはBMWのフラッグシップクーペであり、2ドアクーペ、2ドアカブリオレ、そして4ドアクーペのグラン クーペというラインナップで販売されています。この個体はグラン クーぺのMパフォーマンスグレード。この上は、MハイパフォーマンスのM8しかありません。搭載するV8ツインターボは530馬力もの出力を発生するユニットで、通常のグレードとはまるで違う異次元の走行性能が楽しめます。
高額買取の理由として一番大きなポイントは、グラン クーペである点でしょう。2ドアよりも人気のある4ドアクーペ、そして高年式、低走行車、ブラックボディという条件が重なり、好条件を引き出しています。先述のX6と同様、新車納期が伸びていた真っ只中ということもプラスで加味されているでしょう。
(成約時期:2022年01月)
●X7
次に紹介するのは、3列シートを持つフラッグシップSUV、X7です。
こちらの個体は
グレード:エディション・イン・フローズン・ブラック・メタリック
年式:2022年
走行距離:598km
というデータです。新車当時の価格は1466万円(オプション等除く)となっていました。SellCaで実際に落札された価格は、なんと1177万円です。
SUVラインナップの頂点に位置する、X7。エディション・イン・フローズン・ブラック・メタリックという限定の特別仕様車がこの個体で、日本国内において40台の限定台数がオンラインで販売されました。その名のとおり、全身漆黒で仕上がったX7ですが、ボディカラーのマットブラックは、BMWのオーダーメイド部門であるindividualで扱う特別カラー。これに合わせ、キドニーグリルやテールパイプ、アルミホイール、ブレーキキャリパー、インテリアに至るまですべて黒で統一されています。なお、ベース車両は、xDrive40d Mスポーツです。
この個体に関しては、走行距離が極端に少ないことが高額買取につながっています。限定車や特別仕様車という理由で高価になっているかと思いがちですが、この限定車の仕様は少し個性が強いタイプですので顧客層が限られてきます。よほど人気のある仕様でない限り、誰もが買いやすい仕様のほうが高価買取になりやすいでしょう。22年11月にX7はマイナーチェンジを行い、フロントマスクが7シリーズのような2段ヘッドライトになりました。この個体はそのマイチェン前のモデルですので、より個性的なマイチェン後モデルよりも万人受けする好まれやすいデザインという点もプラスに働いているかもしれません。
(成約時期:2023年2月)
●i8
次に紹介するのは、その平べったいルックスからは想像できないくらいエコなスポーツカー、i8です。
こちらの個体は
グレード:ロードスター
年式:2019年
走行距離:5,401km
というデータです。新車当時の価格は2234万円(オプション等除く)から。SellCaで実際に落札された価格は、なんと1420万円です。
2014年に日本へ導入された、BMW初となるプラグインハイブリッド・スポーツカーがi8です。クーペとロードスターの2種類のボディタイプがありますが、ロードスターはクーペより導入が4年も遅れているため(18年~)、クーペと比べると圧倒的に流通台数が少なくなります。この個体の高額理由は、まず第一にこのロードスターであることが挙げられます。
そして、流通台数の少なさ、低走行距離と並んで、もう一つ外せない理由がボディカラーです。台数の少ないロードスターでホワイトのボディはとてもレアな存在。人気があるからといって、そう簡単には見つからないでしょう。i8ロードスターの中古車相場平均が約1400万円前後ということを考えると、この個体が特に高額で買取されているかがわかります。
(成約時期:2022年10月)
●M3
最後に紹介するのは、走行性能を磨き上げた究極の3シリーズ、M3です。
こちらの個体は
グレード:CSL
年式:2003年
走行距離:40,760km
というデータです。当時の新車価格は1150万円(オプション等除く)。SellCaで実際に落札された価格は、なんと1454万円です。
19年落ちでの出品でありながら新車価格よりも遥かに高額で落札されている理由は明確で、この個体が普通のM3ではなく「M3 CSL」だからです。
ただでさえ高性能なM3を、110kg以上の軽量化を施すことによってさらに走行性能を磨き上げた特別なモデル。世界でたった1400台ほどしか生産されなかった”激レア車”であり、日本への正式な導入数も定かではありません。中古車市場では滅多にお目にかかれないほどの逸品。所有できた人は、間違いなく一生モノになるでしょう。価格が跳ね上がっていることは当然の結果とも言えます。
レアなクルマは相場が分かりにくい傾向にあります。希少なマイカーの価値が知りたい方は、7000社以上のバイヤーが登録しているSellCaオークションに出品してみることをオススメします。
(成約時期:2022年3月)
<文=青山朋弘 写真=SellCa>