アルファードの一強は終焉? センチュリーSUVの登場で変わる日本のショーファーカー需要

アルファードの一強は終焉? センチュリーSUVの登場で変わる日本のショーファーカー需要

2023年10月6日

センチュリーのクロスオーバーSUVタイプが、2023年9月7日ワールドプレミアされました。ご存知、センチュリーはトヨタがあらゆる技術を投入した最高級ショーファーカーであり、国産車では唯一無二の存在です。これまではセダンボディのみのラインナップでしたが、ここで新たにSUVタイプの追加がアナウンスされたのです。

 

◆内容を見てるとあのクルマが浮かんでくる!?

全長5mオーバーで、ホイールベースもほぼ3m。大柄なボディのパワーユニットには3.5Lエンジン+モーターのハイブリッドシステムが選ばれ、外部から充電もできるPHEV(プラグインハイブリッド)の4WDとなります。シャシーには、ハリアーやアルファードと同じGA-Kプラットフォームを採用。FFベースとすることで、センチュリーセダンよりも全長が小さいにもかかわらず、室内を広くしています。

リアシートファーストの造りは、セダンとまったく考え方が変わりません。リアシートは左右独立型の2人掛け(3人乗りも選択可)。まるで飛行機のビジネスクラスのように、フルリクライニングで身体を横にすることもできるシートを備えています。そして、リアのドアもヒンジ型だけでなく、なんと電動スライドドアも選択可能。乗降のしやすさまで考慮されているのです。

と、センチュリーSUVの内容を見ていると、どうしても被ってくるクルマがあるのではないでしょうか。そうです、つい先日モデルチェンジをし大人気を博しているアルファードです。

 

◆ショーファーカーとしての需要もあるアルファード

トヨタの最高級ミニバンであるアルファードは、広大な室内空間と贅沢なシートが備わることから、近年ではショーファーカーとしての需要も増えています。セダンタイプよりも乗降性がよいこともプラスになり、今では芸能人や政治家、会社経営者などから多く好まれるようになりました。ショーファーカーといえば、昔から高級車の代名詞。アルファードは、ステータス性も兼ね備えた唯一の国産ミニバンだといえるでしょう。

そして、現在のアルファードを取り巻く状況を見てみると、新車は需要過多でオーダーストップ、中古車もそれに伴い異常なほど高騰しています。人気が高すぎて、まさにアルファード一強状態となっています。しかし、そんな状況も一変するかもしれないと思わせたのが、今回のセンチュリーSUVの登場でした。

ショーファーカーとしての需要が増えたアルファードではありますが、今はエグゼクティブラウンジという最高級グレードまでしか用意がありません。しかし現在の顧客層には、「本当はもっと上のプレミアム性の高いクルマが欲しい」と考えているオーナーも含まれています。これ以上の存在が、今現在ないからです。そこに需要があることは百も承知のトヨタが打ってきた手というのが、今回登場したセンチュリーSUVというわけです。

 

◆アルファード一強の時代は終わり?

価格が2500万円からとアナウンスされたセンチュリーSUVですが、この価格はアルファードの最高級グレードであるエグゼクティブラウンジの軽く3倍。しかも、これはあくまでも基本の価格であり、ここから金額を上乗せすればあらゆるオーダーが可能となるとも発表されました。前述のスライドドア然り、オーナーの好みでカスタムできる部分がアルファードとは比較にならないほど多くなります。

アルファード以上を求める人にとっては、センチュリーSUVはまさに要望通りのショーファーカーの姿なのかもしれません。そして、この先にはアルファードのレクサス版であるLMの投入も予定されています。さらにセンチュリーの価格帯を見れば、輸入車のランドローバー レンジローバーやベントレー ベンテイガなども視野に入ってくるかもしれません。背の高いショーファーカーの選択肢が、需要とともに増えてきているのです。

今はアルファード一強ともいうべき日本のショーファーカー需要ですが、センチュリーSUVの登場により状況が変わる可能性が出てきました。そして、ランドクルーザーと違い国内需要が優先されているアルファードは、増産体制が整えば受注停止もすぐに解消されるかもしれません。当然中古車市場も、それに伴って変化していくでしょう。売却を考えている現オーナーは、今が一番いい売却時期なのかもしれません。

 

<文=青山朋弘 写真=トヨタ>

この記事を書いた人

TomohiroAoyama

青山朋弘

新車専門誌、中古車専門誌、モータースポーツ誌などの編集部を経て、
現在はフリーランスの編集&ライター。
自動車専門誌やWebサイトに寄稿しながら、YouTube動画の撮影・編集も行う。
愛車は10年前に走行5万kmで見つけた、NA型ロードスターの初期型。
趣味のMTBをどうやって積むのがいいか、常に試行錯誤している。

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