原油価格の高騰により、ガソリン価格もどんどん値上げされる昨今。リッター200円代突入のウワサも囁かれるほどになると、少しでもガソリン代の負担を減らしたいと思うのは当然でしょう。それならば、思い切って電動車に乗り換えてみることもひとつの解決策。ここでは、最近急速に増えてきた電動車のなかで特にオススメできる車種を紹介していきます。
●三菱 アウトランダー
ほぼパーフェクト! 頼れる存在の最新PHEV
三菱が現在まで培ってきたあらゆる技術が惜しみなく投入された、ミドルクラス電動SUVです。2021年12月に発売された現行3代目モデルは全車PHEV(プラグインハイブリッド車)となり、従来型にまでラインナップされてたガソリンエンジン車は廃止されています(海外市場には設定あり)。
アウトランダーの魅力は、そのパーフェクトな性能です。PHEVとしての燃費性能や動力性能、電子制御による4WD技術「S-AWC(スーパー・オールホイールコントロール)」はもちろんのこと、20インチの扁平タイヤを履いているとは思えないほどの乗り心地のよさや、最新のADAS(先進安全運転支援システム)の制御、そして現在のPHEVでは唯一となるCHAdeMO急速充電に対応しているなど、欠点らしい欠点が見当たりません。少々アクの強めなデザインが嫌いでなければ、間違いなく誰にでもオススメできる1台だと言えるでしょう。
いざという時に役立つ1500Wの給電能力も備えていますので、災害時など停電した場合には頼もしい存在に早変わり。もちろん普段でも給電機能は使用できますので、アウトドアシーンでも家電が使用できるなど大活躍間違いなしの機能です。
こんなパーフェクトな電動SUVが、どんなに高くても500万円台で手に入り、さらに国から補助金まで給付されるという嬉しいオマケ付き。補助金にはもちろん期限がございますので、お早めにお求めいただくことを強くオススメします。
●トヨタ プリウスPHEV
5代目を象徴するスポーティなPHEV
2023年にデビューしたばかりの最新ハイブリッドカーですが、これまでのプリウスを知っている人ほどその乗り味には驚くことでしょう。そのくらい5代目のプリウスは様変わりしています。
まるでスーパーカーのように寝かされたフロントガラスから見てもわかるように、ボディのデザインはより先鋭的になりスポーティさを強調しています。ドライブフィールはひと言で言えば「スムーズ」。どの操作に対してもナチュラルな反応をして、すべての動きにつながりが生まれているためとてもスムーズに走らせることができます。走りの質が高すぎるため、運転が急に上手くなったと錯覚してしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな5代目プリウスのPHEVは、ノーマルのHEVに比べても一層スポーティ感が強まっています。モーターの出力が高められ、より意のままの走りが楽しめるグレードへと変わりました。バッテリーも大容量化しているため、日常使いではほぼ電動走行のみでまかなえるでしょう。Cセグメントにおける世界最強の電動車だと言っても過言ではないくらい、大きな存在へと進化しています。
従来型から比べ、より1列目シートのプライオリティが上がった室内デザインとなっているため、ファミリーカーとしてというよりもパーソナルカーとしての使用の方が向いています。トヨタのラインナップからすれば、プリウスの担っていたポジションにはカローラが収まっていますので、よりパーソナル方向へ振れたということです。急速充電が非対応になってしまったところは少々残念ではありますが、自宅や滞在先に充電設備があればガソリン代は大幅に節約できるでしょう。
●日産 エクストレイル
BEVのように静かでパワフルなハイブリッドSUV
日産の誇る電動パワートレイン「e-POWER」を搭載した、ミドルサイズのハイブリッドSUVです。海外ではローグという名で販売されるグローバル戦略モデルでもあり、先述の三菱 アウトランダーとはシャシーを共有する兄弟モデルでもあります。
e-POWERの特徴はシリーズハイブリッドと呼ばれる構造で、他社のハイブリッドとは異なりエンジンのパワーが動力にまったく使用されません。あくまでも発電専用として存在するだけで、駆動はすべてモーターが担います。現行3代目ノートから採用された第2世代e-POWERシステムは、モーター性能が向上しより俊敏でスムーズな走りを実現しましたが、同じシステムがエクストレイルにも搭載されています。クルマのスピードと同調するようにエンジンの回転数が変わるため、モーターでの走行にも関わらずより自然な加速感が味わえることが大きな特徴です。
加えて、走行中の静粛性もエクストレイルの特筆すべき点です。エンジン音が主張されないため、走っている時はBEV(電気自動車)だと錯覚するかもしれません。不快な音はほとんど感じられないストレスフリーなドライブが楽しめます。アクセルペダルの操作にダイレクトに反応する加速性能、ニュートラルで意のままに曲がっていくステアリング、そして先述の静粛性能。クルマの運転を楽しみたい人にほど、ぜひ乗ってもらいたい電動SUVだと言えます。
ほかにも、ADASには日産自慢のプロパイロットを採用し、電動化に完全対応した新シャシーは乗り心地も使い勝手も申し分がない仕上がりです。まさに「技術の日産」がみっちりと詰まった最新SUVのエクストレイル。販売台数が好調なのも納得の出来栄えです。
●日産 サクラ
納得のクオリティを持つ小さな高級BEV
電動車と言われて真っ先に思い浮かぶのは、BEV(電気自動車)ではないでしょうか。日産は世界中のどのメーカーよりも先駆けてBEVを量産し、実績とノウハウを積み上げてきました。そんな日産が作った軽自動車規格のBEVがサクラです。
オススメできる理由は、「このクルマで十分だ」と思わせる規格外の高品質さです。登録車に乗っていた人でも、サクラのクオリティには驚くかもしれません。とにかく軽自動車とは思えない作り込みの高さなのです。室内に乗り込んだ瞬間の静粛性や、インテリアに使用している素材やデザイン、見て触って感じられるすべてが軽自動車の常識には当てはまらない品質で仕上げられています。それはまるで、小さな高級車です。
BEVですので、走っている時の静粛性能も高く登録車(リーフなど)と比べても遜色ありません。一充電走行可能距離が180kmとそんなに多くないのは、サクラが遠距離ドライブではなく街中での使用を前提としているからで、普段の送迎や買い物に使うのなら十分な走行距離を確保しています。自宅に普通充電の設備があれば充電ステーションに通うことすらなくなり、ガソリンスタンドに通っていたことを完全に過去へと変えてしまうことになるでしょう。
●メルセデス・ベンツ EQS SUV
世界の最先端を味わえる最高級BEV SUV
リチウムイオンバッテリーやそれらの制御システム、そして販売台数の少なさもあり高価になりがちなBEV。しかし、そんなBEVのなかには「本当にこの金額で大丈夫?」と疑いたくなるほど、贅沢なのにコスパの高いクルマも存在しています。そのひとつが、メルセデス・ベンツの最新フラッグシップSUVであるEQS SUVです。
BEV専用のプラットフォームを採用することによって得た、高い安全性能や低重心化、広い室内空間だけが魅力ではありません。メルセデスらしさが付加価値として付いてくるのですが、その豪華さや先進性はプライス以上の価値があるものばかり。例えば、乗り込むとすぐに目に飛び込んでくる、全面ガラス張りのダッシュボード。MBUXハイパースクリーンと呼ばれる長さ140cm以上の一枚ガラススクリーンの下には大型ディスプレイが3つ収まり、運転席、センター、助手席前のトリプルモニターとして作動します。その様子はまさにこれが世界最先端の技術と思えるもの。見たことのない光景に圧倒されるでしょう。
BEVのSUVでありながら、メルセデス特有のどっしりと落ち着いたライドフィールを実現しているところも、このクルマならではのポイントです。例えば敷地内から道路へ出る時の小さな段差を乗り越える、そんな瞬間でも乗り心地のよさが実感できます。
世界最高峰かつ最先端のBEVが、1500万円クラスから購入できるとは。こんな恵まれた時間は今だけかもしれません。
<文=青山朋弘 写真=三菱/トヨタ/日産/青山朋弘>