●今度のビュートはレトロかつ低燃費
クラシカルなスタイリングやレトロ調のデザインで国内外問わず多くのファンを魅了してきた、日本が誇るハンドメイドブランドのミツオカ。2023年9月22日、ラインナップに新たなモデルが加わりました。プレミアムコンパクトとしてデビューした「Viewt story(ビュートストーリー)」は、従来までビュートとして販売されていたコンパクトカーの後継モデル。ベースモデルをこれまでの日産 マーチからトヨタ ヤリスへ変更し、シリーズ初となるハイブリッドモデルも選べるようになりました。
ミツオカのクルマといえば、その個性的な外観が一番の特徴。街ゆく人が振り返るほど、他車とは一線を画すクラシカルなデザインが目を引きます。今回登場したビュート ストーリーも、従来からの英国風クラシカル路線は変わらず。先代のビュートでは2.5ボックスのセダンボディでしたが、今回のビュート ストーリーからはベースモデル同様のハッチバックボディへと変わっています。レトロで愛らしい丸型の前後ライト類や、縦長なハート型フロントグリルなどのビュートらしさを残しながら、最新のハイブリッドシステムも搭載。低燃費性能もプラスしながら、コンパクトな英国車の雰囲気を味わえる1台に仕上がっています。
価格は、308.0~429.0万円。唯一無二のレトロデザイン、そして1台1台手作業で組み上げられるため少々高めに感じるかもしれませんが、この金額で故障の少ないクラシックカーに乗れると考えればむしろ安いと考えるべきかもしれません。そういった、古き良き欧州車の雰囲気が手軽に楽しめる、それがミツオカの魅力です。生産台数が限られるため、注文してから納車までの期間もだいぶ開きます。それでも近年人気が高くなり注文が後を断たないのは、ミツオカの思いに賛同する顧客が増えた証拠。これからもファンを増やしていくでしょう。
●ミツオカのクルマはどれも高値安定!?
ある意味特殊なミツオカのクルマですが、中古車市場でもその人気は高まる一方。もちろん買取も好条件の個体が続出している状況で、クルマによっては買取価格がスタート時から100万円以上アップしたという実績も出てきています。では、ミツオカのクルマは、どうしてそんなにも人気が高いのでしょうか。それにはおもに2つの理由が考えられます。
まず1つ目は、希少さです。ミツオカのクルマは生産台数に限りがあるため、市場に出ている個体数も少なくなりがちです。中古車市場では、一番多く出回っているビュートですら100台くらいしか見つかりません。そのほかの車種は、すべて数十台、もしくは数台しか市場に出回っていないのです。需要があるモデルばかりですので、必然的に価格も上がってしまいます。
2つ目は、信頼性の高さです。ご存じミツオカのクルマたちは、オリジナルではなく他メーカーのクルマをベースに作られています。今のラインナップでいえば、ビュート ストーリーはヤリス、リューギはトヨタ カローラアクシオ/フィールダー、バディはトヨタ RAV4、ヒミコはマツダ ロードスターといったように、国産メーカーのクルマがベースとして使用されています。いってしまえば信頼性の高い、普段から安心して乗りまわせるクラシックカー。こういった古き良き時代のクルマが好きだった人には、この上ない選択肢となるのかもしれません。
今回のビュート ストーリーは、今までの英国クラシック路線をキープしてきましたが、最近のミツオカ車では、アメリカンクラシックも高い人気を誇っています。SUVのバディ、そして限定車のオープンスポーツカー、ロックスターです。同じレトロ調でもまるで違う、アメリカンな雰囲気を見事に表現した2台は、どちらも手に入りにくいことから相場はかなり高くなっています。
ニッチな需要を見事に捉えた、自動車業界では新興メーカーのミツオカ。これから登場してくるクルマが、どのようなテイストのデザインになるのか楽しみは尽きません。常に注目しておきたいブランドのひとつだといえるでしょう。
<文=青山朋弘 写真=光岡自動車>