一番クラウンっぽいのはどれ? 一気に4種展開した16代目新型クラウンとはどんなクルマ?

一番クラウンっぽいのはどれ? 一気に4種展開した16代目新型クラウンとはどんなクルマ?

2024年1月25日

1955年登場の初代から数えて、16代目にあたるトヨタ クラウンの現行モデル。トヨタのなかでもっとも歴史が長く、日本の高級車市場をずっと牽引し続けてきたクルマです。そのクラウンはこの16代目から大きく変わり、ボディを4タイプ設定。そして、史上初めてグローバルモデルとして世界に展開するクラウンとなりました。

■4種のボディタイプにそれぞれのパワーユニット

4種のボディは、一度に発売するのではなく段階的に登場してきました。最初に登場した「クロスオーバー」は、クーペとセダン、SUVを融合させたクロスオーバーSUV型で、2022年7月に発売。23年10月にはハッチバック型スポーツSUVの「スポーツ」、同11月に正統派プレミアムサルーンの「セダン」を発売しました。ステーションワゴン型SUVの「エステート」は、23年度内に発売予定ですので、24年3月までには登場するでしょう。今回は、23年に新しく登場したスポーツとセダンについての試乗記をお送りします。

この16代目の特徴として、全車“電動車”になったことが挙げられます。従来からのシリーズ・パラレル方式のHEV(ハイブリッド)に加え、PHEV(プラグインハイブリッド)、FCEV(燃料電池車)がラインナップされ、ICE(内燃機関)のみの車両は姿を消しました。従来からのHEVは全車で選択できる一方で、FCEVはセダン、PHEVはスポーツとエステート、デュアルブーストHEVはクロスオーバーといった具合に、ボディ形状でHEV以外のパワートレインが分けられていることも特徴だといえます。

■スポーティな乗り味!? これもクラウン

スポーツはPHEVの発売が少し遅れた(23年12月)こともあり、試乗車は2.5LのHEVでした。グレードはスポーツZ。外観は流石にスポーティな仕立てですが、乗り込むと意外にインテリアが落ち着いていると感じます。ダッシュボードなどのデザインは基本的にクロスオーバーと共通。インテリアカラーも落ち着いたブラックとベージュの2種から選べますが、アクセントはウォームスティールと呼ばれる金属調の褐色が使用されます。あくまでもクラウンらしさを重視している印象です。もっとスポーティなレッド内装は、PHEV専用の仕様として用意されました。

乗りこんでいざ走り出すとスポーツらしさが表れます。クロスオーバーよりも明らかにレスポンスがよく、操作に対して機敏に動きます。ここは220mmも短縮されているボディ全長も効果的なようです。乗り心地も引き締まった印象ですが硬すぎることはなく、あくまでもジェントルな乗り味を残したスポーティさ。クロスオーバーよりも明らかに硬さは感じますが、決して不快なレベルではありません。いい意味でクラウンらしくない、新世代のクラウン感が一番味わえるモデルといえます。

PHEVは今回乗ったHEVよりも、もっと走りが過激になっているようです。トヨタはプリウスでもその方向性にセッティングしていましたので、今後のPHEVの立ち位置はモアスポーティなのかもしれません。そして、言及はまったくされていませんが、近い将来にGR系グレードの登場もありそうな予感がしました。それくらいスポーティに仕上がっているのが、クラウンスポーツというクルマなのです。

■FCEVが選べるのはセダンだけ?

スポーツに対し、もっとも対極的な位置にいるのがセダンです。ひと言でいえばコンフォート。従来のクラウンを知る人にとっては、一番クラウンっぽさが感じられるボディタイプです。

セダンは4種のなかで唯一プラットフォームが違い、FRのGA-Lが採用されています。ほかの3車種はFFベースのGA-K。これに伴い駆動方式も変わっていてセダンだけはFRを採用しますが、セダン以外はFFベースの4WDが基本となります。このあたりにもフォーマル志向というセダンの性格づけが反映されているといえるでしょう。唯一FCEVがラインナップされている点から予想できるかとは思いますが、プラットフォームはミライとも共有しています。

ボディの全長は5mオーバー、ホイールベースも3mとシリーズ中でもっともロングボディが与えられたセダン。ホイールベースはクロスオーバーよりも150mm、ミライよりも80mm長く設定されました。このエクステンド分はおもに後席空間の拡充へと充てられています。

試乗は後席からでしたが、快適性が非常に高く仕上がっていました。足元スペースの余裕ももちろんですが、特筆すべきはその乗り心地です。電子制御サスペンションが入っていることもあり、ドライブモードセレクトに設定された「リアコンフォート」を選べば、極上の乗り心地が味わえます。そして、後席では重要視される静粛性も非常に秀逸でした。一般道の速度域でしたら、間違いなくクラストップレベルの快適性といえるでしょう。

後席で感じた乗り心地のよさは、もちろん運転席でも同様。スポーツに比べれば穏やかにはなりますが、操作に対する反応は非常にいいです。ドライバーは運転する楽しさも感じられるでしょう。

2.5Lのマルチステージハイブリッドもかなり出来がよく、なにも不満なことは感じませんでした。しかし、FCEVに乗り換えるとさらにクラウンセダンのよさが際立ちます。特に静粛性は、HEVからさらに一段階バージョンアップしたかと思うレベル。環境が許すのであれば、FCEVを積極的に選びたくなる仕上がりのよさでした。

内外装のデザインは、シリーズ中で一番フォーマルな仕上がりです。水平を意識したボディサイドのウエストラインは伸びやかなフォルムを強調し、FRセダンらしいスタイリングを表現。インテリアでは、ダッシュボードの加飾パネルにほかの3車では使われない艶消しの木目パネルが使用され、高級感を演出しています。レクサスとはまたひと味違った、クラウンらしいデザインだといえるでしょう。

■エステートの名称が久々に復活!

セダンとスポーツに乗り、クロスオーバーの立ち位置が一層明確になりました。スポーティさとコンフォートさを目安にするなら、クロスオーバーはちょうどスポーツとセダンの中間に位置するモデルです。うまくバランスがとられたラインナップだと感じました。

そしてもうすぐ発表されるエステートは、HEVとPHEVが設定される予定となっています。ボディの大きさはクロスオーバーと同じですが、荷室がかなり広く使いやすい設計になっていました。見た目もちょっと背の低いSUVという感じでスタイリッシュ。こちらも人気が出そうです。エステートの名が復活するという意味でも、注目度は高くなるでしょう。この春の登場が待ち遠しいモデルです。

クラウン クロスオーバーに関しては、登場から1年以上経って中古車情報も徐々に集まってきました。現在のリセールは非常に高くなっています。セルカでも買取実績があり、残価率85.9%という高額買取が成約しています。まだまだ新車の納期がかかりそうな人気車種ですので、しばらく高額なリセール傾向は続きそうです。

新型クラウンシリーズは、4車種どれもそれぞれの個性をもった魅力的なクルマに仕上がっています。多種多様なニーズに応えられるラインナップといえるでしょう。今後エステートの発売が控えていますが、そのほかのモデルも進化や改良の情報から目が離せない状況が続きそうな、注目モデルです。

<文=青山朋弘 写真=青山朋弘/セルカ>


この記事を書いた人

TomohiroAoyama

青山朋弘

新車専門誌、中古車専門誌、モータースポーツ誌などの編集部を経て、
現在はフリーランスの編集&ライター。
自動車専門誌やWebサイトに寄稿しながら、YouTube動画の撮影・編集も行う。
愛車は10年前に走行5万kmで見つけた、NA型ロードスターの初期型。
趣味のMTBをどうやって積むのがいいか、常に試行錯誤している。

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