BMW謹製のプレミアムコンパクトカー、ミニがフルモデルチェンジを行い2024年3月1日に日本で発表されました。BMW製へと変わってから4代目となる新型は、ICE(内燃機関)車とBEV(電気自動車)の両方をラインナップすることが特徴で、まずは3ドアのミニと、SUVタイプのカントリーマンが登場しました。3代目となるSUVタイプは従来までクロスオーバーと呼ばれていましたが、今回から海外と名称が統一されカントリーマンとしてデビューしています。
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■BEVとICE両方が選べるラインナップ
現代のコンパクトカーに高級感や高品質さを浸透させていったパイオニアともいえる、ミニ。4代目はこれまでICE頼りだったパワートレインに、電気モーターのみで駆動する電動パワートレインが加わりました。BEVはミニ3ドア、カントリーマン両方にラインナップされ、従来モデルにあったプラグインハイブリッド車は姿を消しています。
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BEVのパワートレインは、ミニ3ドア、カントリーマンそれぞれに2種類づつ用意されました。ミニ3ドアのBEVグレードは、ベーシックなクーパーEと上位モデルのクーパーSE。前者には184ps/290Nm、後者には218ps/330Nmのスペックが与えられ、一充電走行距離はそれぞれ305km、402kmとなっています。
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カントリーマンにもBEVが2種用意されましたが、こちらは4WDが選べます。ベーシックなカントリーマンEは、204ps/250Nmで一充電走行距離が462km。上位のカントリーマンSE オール4は306ps/494Nm、一充電走行距離は433kmと設定されました。ミニ3ドアもカントリーマンも、BEVには外部給電機能が備わっていることも特徴です。
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ミニ3ドアのICEには、1.5L直3ターボと2.0L直4ターボの2種類のガソリンエンジンが用意されました。前者はクーパーCという新設のベーシックグレードで156ps/230Nm。後者はクーパーSで204ps/300Nmをそれぞれ発生します。
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カントリーマンにもこのCとSは同仕様でラインナップされますが、2.0L直4ディーゼルターボ(150ps/360Nm)のカントリーマンDと、ハイスペックな2.0Lガソリンターボ(317ps/400Nm)を搭載するJCW(ジョンクーパーワークス)が加わります。このうち、SとJCWが4WDとなるところはカントリーマンらしい仕様といえるでしょう。ミニ3ドアもカントリーマンも、ICE車はすべて7速のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)が組み合わされていることもトピックです。
■ミニらしさは残しながらも一新
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ミニ3ドアのデザインは、ボディサイズとおおまかなフォルムこそ従来型を踏襲しているもののデザイン的には変わったところが多く、ひと目で新型とわかります。フロントグリルは8角形のシングルフレームで囲われ、大きく拡大していますが、丸型のデイライトをアクセントとしたヘッドライトの配置位置や大きさから、ひと目でミニだと認識できるようデザインされています。リア周りでは、コンビネーションランプの意匠が新しくなっただけでなく、ライト間に黒のガーニッシュが設けられ、グレード名が記されるようになりました。
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ミニ3ドアは、ICE車とBEVでデザインをかなり変えてきていることも見逃せません。ICE車は今までのミニの伝統に則った進化形ですが、BEVはさらにシンプルな仕上げとなっています。無駄なものすべて排除したようなデザインが特徴的で、ボンネットスクープ、ホイールアーチ加飾、ルーフのロッドアンテナなどが廃され、左右のドアハンドルもBMWの電動車のようなフラットサーフェイスな形状へと変化しています。これは航続距離に大きな影響を与える空気抵抗を意識しているためで、BEVならではのシンプル化ともいえます。
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クロスオーバー改めカントリーマンは、従来型と同様CセグメントのSUVらしくボリューム感のある大きさではありますが、各所にミニらしさが表現されています。フロントグリルはミニ3ドアと同様にシングルフレームの8角形。異形のヘッドライトには形を縁取るデイライトが備わります。特徴的なCピラーデザインや、全体が縁取られたリヤコンビランプも3代目カントリーマンのハイライト。リアのナンバープレート位置が初代と同じバンパー部へと回帰したこともトピックです。
■メーターレスデザインを採用
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運転席の目の前にメーターがないというデザインは、ミニにとっては当たり前でもありました。クラシックミニでは、ダッシュボードのセンターにメーターが備わっていましたので、ある意味伝統的な特徴ともいえます。従来型ではステアリング奥に存在していたメーター類が、4代目ミニでは一切なくなりました。今でこそメーターレスなデザインは他メーカーでも珍しくなくなってきていますが、ミニのコックピットはその中でも群をぬく奇抜さといえるでしょう。
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まず目に飛び込むのは、ダッシュボードセンターの円形ディスプレイです。この形状はもちろんミニ伝統のセンターアナログメーターをオマージュしたものですが、デフォルト状態で表示されるコンテンツはメーター情報がミニマムで、ナビゲーション表示がメインとなっています。従来のメーターの代わりになるのは、ドライバーの前方に映し出されるヘッドアップディスプレイ(HUD)。新型ミニは、この円形ディスプレイとHUDのみがディスプレイ類となっています。
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円形ディスプレイは、有機ELを採用し高解像度表示を実現。直径240mmの高品質ガラスで覆われ、スワイプやタッチで操作します。ナビゲーションだけでなく、オーディオやエアコン、電話や各種設定まで、あらゆる操作をこのディスプレイ上ですべて行えるようになっています。
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ディスプレイの下には伝統のトグルスイッチが残されてはいるものの、ギヤセレクターやエンジンスタート、オーディオのボリュームなど最低限の物理スイッチしか残されていません。外観と同様シンプルさを追求したインテリアだといえます。
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最近のプレミアムカーには、アンビエントライトと呼ばれる間接照明的な演出が多く採用されていますが、ミニはそこから先に一歩進んだライト演出を採用しました。全車に標準装備されるミニエクスペリエンスモードという機能は、ダッシュボード上に光のグラフィックを投影させる演出で、最大7パターンが用意されています。アンビエントライトとの組み合わせで、音楽に合わせたイルミネーションの変化なども楽しむことができ、ミニのインテリアにさらなる表現力を加えています。
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■BMW譲りのハンズオフを初採用
ADAS(先進安全運転支援システム)の進化も、新型ミニの大きな特徴です。高性能カメラとレーダー、そして高性能プロセッサーによる最新システムは、ストップ&ゴー機能付きのACC(アダプティブクルーズコントロール)や車線変更や逸脱の警告、緊急自動ブレーキなどをすべて標準装備化しています。さらにパーキングアシストも上位グレードに用意し、駐車のアシストや、ペダルの踏み間違い防止機能などが備わっています。
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カントリーマンには、ミニとしては初となるハンズオフ機能も備わりました。渋滞運転支援機能は、ACC使用時に60km/h以下の渋滞走行となったとき、ハンドルから手を離した自動運転が可能になります。渋滞走行時のドライバー疲労軽減に大きく影響する機能だといえるでしょう。
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Bセグメントのコンパクトカーにプレミアムカーの品質とデザイン性を採用し、独自の世界観で高い人気を博してきたミニ。4代目の新型もミニらしい魅力が以前より増して強くなっている印象です。より強い個性を求め、先進性を求めるユーザーには、魅力的な選択肢になるでしょう。
■価格&バリエーション
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●ミニ3ドア
クーパーC ――― 396.0万円
クーパーS ――― 465.0万円
クーパーE ――― 463.0万円
クーパーSE ――― 531.0万円
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●ミニ カントリーマン
カントリーマンC ―――――― 489.0万円
カントリーマンD ―――――― 509.0万円
カントリーマンS オール4 ――― 566.0万円
カントリーマンE ―――――― 593.0万円
カントリーマンSE オール4 ――― 662.0万円
JCWカントリーマン ―――――― 667.0万円
<文=青山朋弘 写真=BMW>