これってもはやフルモデルチェンジ級の違いでは!? 新型NDロードスター試乗で現役NA乗りはどう感じた?

これってもはやフルモデルチェンジ級の違いでは!? 新型NDロードスター試乗で現役NA乗りはどう感じた?

2024年2月15日

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マツダの現行ロードスター(ND型=以下ND)が2015年の発売以来初めて大きなマイナーチェンジ(MC)を受けました。とはいっても、外観が大きく変わることはまったくなく、灯火類の意匠が少々変わった程度です。だからといって、あまり変わり映えのしない外観に騙されてはいけません。ビッグMCの意味するところは、まさにクルマの中身にありました。

■ついにACC搭載!

詳細発表は23年の10月でしたが、あらかじめ発売が24年1月とアナウンスされていた今回のMCモデル。いよいよ生産が開始され、ディーラーにも試乗車が配置され始めた1月下旬に、試乗する機会に恵まれました。

NDの開発主査を務める斉藤茂樹氏は、就任当時から「NDは進化を続けるが、今後のモデルで外観を大きく変えることはない」といっていました。登場以来毎年のように商品改良を行ってきたNDですが、今回のMCでもその言葉どおり外板部の変化がほぼありません。ヘッドライトとリアコンビネーションランプだけはフルLED化され、より精悍なイメージのデザインへと変わりました。

灯火類と一緒に、フロントグリル内のレーダーに気づいた人は、かなりのNDマニアといえるでしょう。今まで改良があるたびに進化を続けてきたNDのADAS(エーダス=先進安全運転支援システム)ですが、このMCモデルではついにACC(アダプティブクルーズコントロール)が付きました。

ACCは前走車との距離を自動認識して走行する、半自動運転の機能。これは特にロングドライブをする人にとって、心強い装備となるでしょう。このACC用のレーダーがフロントグリル内の向かって右側に追加されています。先述の灯火類と、このグリル内のレーダーくらいでしか外観上でMC前との区別がつけられない。それが今回のMCモデルのわずかな特徴です。

内装ではインフォテインメントシステムが刷新され、センターディスプレイも8.8インチのワイドタイプに変更。インテリアカラーのバリエーションにはスポーツタンが加わりました。これは今回追加された「S レザーパッケージ Vセレクション」という新グレードだけのカラー。スポーツタン内装を選ぶと、ソフトトップもベージュに変わります。初代NA型ロードスターに設定されていた、Vスペシャルのオマージュともいえるカラーコンビネーションです。

■MCの本当の理由とは?

見た目でわかるところよりも、乗ってわかるダイナミクス性能面での進化こそが、新型NDの魅力。具体的に挙げれば、デファレンシャルと電動パワステ、エンジンセッティング、そしてドライブモードの追加です。このうち、デフとパワステの効果は顕著で乗ってすぐにわかる違いでした。そのインプレッションをお伝えする前に、なぜこのビッグMCが行われたのかの説明をしましょう。

今回変わったところをよく見ると、電子回路が必要となる部分がほとんどを占めます。これは、24年7月から施行されるサイバーセキュリティ法という法律が絡んでいます。簡単にいえば、ハッキング防止の法整備です。

今のクルマは、あらゆる装備が電子デバイスによって制御されていますので、日本だけでなく欧米諸国にも適用されている世界規模での法改正といえます。これに伴い、電子回路が絡むパーツ類(LEDの灯火類もそのうちの一つ)は、すべて刷新しなければならなくなりました。今回のMCはこのサイバーセキュリティ法対策が本来の目的でしたが、それだけで終わらないのがマツダのロードスターというクルマなのです。

■電動パワステが全然違う!

新型と旧型の違いをひと言でいえば、雑味のなさとでもいいましょうか。操作に対して至極シンプルに、すっきりとスムーズに反応する。ここが一番驚いたポイントでした。それは走り出しですぐにわかるレベル。まず感じることができるのは、ステアリングのスムーズさでした。

もともとハンドリングには定評のあるNDですが、電動パワステの改良はフリクションがさらになくなった感覚。今までの操舵感がザラザラなら、新型はサラサラ。そんな感覚のスッキリした操作感です。自分の意のままに操れるロードスターのハンドリングのよさが、さらに引き立っています。

その新電動パワステ、具体的にどこが変わっているのかというと、ステアリングギヤの構造変更が行われていました。アシスト交点の位置変更、ラックエンドのブッシュ廃止、内製モーター制御による戻し側制御の緻密化、ステアリングトルクセンサの容量アップなどが施され、その結果あのスッキリとしたハンドリングを生み出すフリクションの低減につながっているのです。

■新型LSDの効果はバツグン!

そして新型NDの走りをさらに気持ちいいものにしてくれるのが、新しいLSD(リミテッド・スリップ・デファレンシャル)の「アシンメトリックLSD」です。これは従来までのLSDよりも、日常域での軽快さと高G域での安定感を両立させた新開発の技術。リアが不安定になりがちなコーナー進入時などの減速時は、差動制限力を強めて安定させ、逆にコーナー脱出時などの加速時に曲がりやすくする効果があります。

このアシンメトリックLSDと、先述の新型パワステの相性は抜群。まさにロードスターの真骨頂であるヒラヒラとコーナーをクリアする気持ちよさが、先代モデルよりもさらに一段階上がった印象です。この2つの装備があるだけで、車格がひとつ上がったようにも感じてしまうから不思議です。今NDに乗っている人であれば、この違いは明確に感じ取れるでしょう。

エンジン出力も1.5Lエンジンは向上しています。ハイオクガソリン用のセッティングを追加することによって3kWアップしました。併せて2.0Lも加えた全MT車には、エンジン制御の改良も実施。アクセルを戻した際のレスポンスが鋭くなっているため、よりダイレクト感が増しています。試乗では旧型との乗り比べもできたため、その違いははっきりとわかるレベルでした。エンジンやステアリング、デフも含めたすべての改良により、新型は操作に対してさらに素直に、そしてより人馬一体感が増しています。

■NDからの乗換はどのくらい?

魅力がかなり増した新型NDですが、販売面の月販目標は500台くらいに設定されています。しかし、23年10月の発表以降4ヶ月で、早くも受注が3000台に及んだとのこと。まだディーラーには試乗車が配備されていない段階(いわゆる現車確認なし)にも関わらず、この台数が売れているということから、新型NDの需要が高いことが伺えます。この1月から徐々に試乗車は配備されてきていますので、この先も販売面ではしばらく期待できるでしょう。

マツダの販売データによれば、新型NDへ乗り換える人の約2割がロードスターオーナー。そのうち、約8割が現行NDからの乗換だといいます。もう来年には登場から10年を迎えるNDですが、ACCの装備やナビゲーションディスプレイの拡大など、オーナーの不満点が改善されている新型は魅力的に見えたに違いありません。パッと見ではあまり変わり映えのしない外観の新型NDですが、前述のダイナミクス性能の進化ぶりを体感すれば乗り換えて正解だと必ず感じるでしょう。そのくらい進化の幅が明確なマイナーチェンジだといえます。

ちなみにですが、新型のフルLEDヘッドライトは先代モデルに一切つかないそうです。理由は、サイバーセキュリティの対策が入っているからで、電子制御のおおもとがまったく違うことにより装着ができません。ライト類だけ変えようとしてもNGなようです。反面、ベージュの内装パーツはレトロフィット可能。初期型のNDをベージュ内装にすることは、パーツさえ買えばできるそうです。

■NA乗りが感じた新型への想いは?

さて、現在筆者が所有する1990年(平成2年)式のNA型と比べるというのもおかしな話なのですが、今回の新型NDは初めてアリだと思いました。正直、今までのNDは乗りたいと思わせる魅力が今ひとつでした。キャビンもラゲッジもNAより狭く、使い勝手はよくありません。もちろんナビ画面の古さも気になっていました。走りの気持ちよさは十分なのですが、NAと比較するとなると、よりダイレクト感のあるNAのほうが上でした。

しかし、今回のビッグMCを受けたNDは「これは欲しい!」と思わせる出来のよさ。いま日本で販売されている現行車のなかでは、間違いなく走りの気持ちよさNo.1です。単純にNAと比べても、素のSグレードが一番近い存在でしたが、それでも3段階くらいクオリティがアップしていると感じざるを得ません。そのくらい緻密に作られている印象です。Sスペシャルパッケージ以上の新LSD搭載車なら、さらに気持ちよさは倍増。変わっていないはずのキャビンの広さも気にならなくなるくらい、走りの魅力にあふれています。

純粋なICE(内燃機関)搭載車としては、もう最後になるかもしれないND型ロードスター。次期モデルに関する言及はまったくありませんが、電動化される可能性は大です。斉藤主査は、登場8年目の段階でNDをアップデートした理由には裏のメッセージがあると語ります。「まだまだ進化しますよってことです。NDの時代はまだ終わりませんから安心してください」。となると、歴代最長モデルになる可能性が高くなってきました。これからの進化も楽しみです。

試乗したジャーナリストなどの意見を聞くと、評判は上々の新型ND。この先、純ICEでなくなるとなればリセールも期待できます。欲しい人は購入できるうちに決めたほうがよろしいのではないでしょうか。まだ先になるとはいえ、いつ生産終了になるかはまったく予想がつきませんので。

<文=青山朋弘 写真=マツダ/青山朋弘>


この記事を書いた人

TomohiroAoyama

青山朋弘

新車専門誌、中古車専門誌、モータースポーツ誌などの編集部を経て、
現在はフリーランスの編集&ライター。
自動車専門誌やWebサイトに寄稿しながら、YouTube動画の撮影・編集も行う。
愛車は10年前に走行5万kmで見つけた、NA型ロードスターの初期型。
趣味のMTBをどうやって積むのがいいか、常に試行錯誤している。

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