リセールの良いクルマとひと言でいっても、いろいろな種類があります。需要が供給数を上まわるというのは大前提にあるのですが、世の中には予想もできないような買取値がつくクルマも存在するのです。そんな世界をちょっとでも見てみたいと思うのが、クルマ好きのサガ。実際にどのくらいの残価率で取引されているかは気になる人も多いのではないでしょうか。
今回紹介する5台も、過去セルカで実際に買取が行われた高額車両。その希少価値の高さから高価買取されたフェラーリのクルマにスポットを当てました。このクルマたちがなぜ高価買取されたのか、実際に買取されるリアルをご覧ください。
これから紹介するデータは、愛車買取オークションセルカでの出品データからフェラーリ車に対象を絞り、特に高額売却された実績について調査したものです。
調査機関:自社調査
調査日:2018年11月16日~2023年06月23日
調査対象:弊社で取引されたお車のデータ19件(フェラーリ車に絞って)
調査方法:自社保有データ分析 高額で落札されたもの、かつ新車価格と比較して残価率の高いものを上から5つ抽出(車種が同じもの、乗用車でないものは除く)
●F430
最初に紹介するのは大人気を博したV8ミッドシップフェラーリ、F430です。
こちらの個体は
グレード:F1
年式:2007年
走行距離:9,808km
というデータです。
F430の新車価格は2299万円(オプション等除く)からでした。SellCaで実際に落札された価格は、なんと1300万円。残価率は15年落ちで56%です。
15年を経てもなお1000万円オーバーの価値を残しているクルマ。フェラーリならではの買取実績といえます。V8搭載の“ピッコロ”フェラーリとしては、360モデナに次ぐモデルのF430。高額買取の理由としては、やはり1万km未満の低走行車ということが筆頭にきます。
フェラーリのなかではあまり多くない黒のボディカラーに加え、レッド内装も人気の組み合わせ。このあたりも高評価のポイントとなっています。もちろん、取説や点検記録簿がしっかりと残してあることも大きなメリットになっているでしょう。社外品のナビゲーションが入ってはいるものの、そのほかはノーマルを維持している点も見逃せない高評価ポイントです。
(成約時期:2022年01月)
●カリフォルニアT
次に紹介するのはエントリーモデルのFRフェラーリ、カリフォルニアTです。
こちらの個体は
グレード:-
年式:2017年
走行距離:6335km
というデータです。
カリフォルニアTの当時の新車価格は2450万円(オプション等除く)からでした。SellCaで実際に落札された価格は、なんと1935万円。残価率は5年落ちで79%です。
V8エンジンをフロントに搭載するFRモデルのカリフォルニアTは、フェラーリの入門モデルとして人気を博したオープンカー。この個体も先述のF430同様、低走行距離が高額買取の一番の理由となっています。
あとはボディカラーも含めたオプションが豊富に備わっていることも、大きな高評価ポイントです。白と黒の2トーンボディカラー、カーボンセンターコンソール、カーボンステアリング、カラードブレーキキャリパー、20インチアルミホイールなど、人気のオプションを多く装着しています。もちろん、フルノーマル車両であることも高評価につながっています。
(成約時期:2022年9月)
●488GTB
次に紹介するのはV8ターボ搭載のピッコロフェラーリ、488GTBです。
こちらの個体は
グレード:-
年式:2017年
走行距離:2322km
というデータです。
488GTBの当時の新車価格は3070万円(オプション等除く)からでした。SellCaで実際に落札された価格は、なんと2950万円。残価率は2年落ちで96%です。
この488GTB以降に紹介する実績は、すべて数多くのオプションが装着されているフルオプション状態の個体となります。実際の購入価格とは残価率が大幅に変わる可能性がありますので、ご了承ください。
488GTBは、458イタリアの後継として2015年に登場したピッコロフェラーリ。ミッドに搭載されたV8ユニットは3.9Lに排気量を下げ、新たにターボで武装されました。この個体は走行距離3000km以下という超低走行車であることに加え、黒のボディカラーという点も高評価につながっています。人気のオプションが満載という点ももちろん見逃せませんが、そもそもの個体数が少ないということも影響しているでしょう。
フェラーリは488GTB以降のモデルで、生産台数を大幅に削減してきました。そうすることによって1台1台の価値を高め、ブランドの価値も上がるためです。実際に2023年12月現在で、488GTBの中古車市場平均価格は約3000万円で、流通台数はわずか30台ほど。先代458イタリアや先々代F430は50台以上流通していることを考えれば、その差は明らかといえます。488GTB以降は、生産台数の少なさによる希少さという点も高額買取の理由に入ってきています。
(成約時期:2019年7月)
●488 スパイダー
次に紹介するのは電動ハードトップ搭載のV8フェラーリ、488スパイダーです。
こちらの個体は
グレード:ベースグレード
年式:2017年
走行距離:6426km
というデータです。
488スパイダーの当時の新車での価格は3450万円(オプション等除く)からでした。SellCaで実際に落札された価格は、なんと3150万円。残価率は5年落ちで91%です。
先述の488GTBから、買取時期がだいぶあとになっているのにも関わらず高額買取を実現しています。2022年には、このあとの後継F8トリブートを通り越してすでに296GTBが発表されていました。2世代も前のモデルでもこれだけの高額買取が実現できている点は、フェラーリならではといえます。
488スパイダーは488GTBのオープントップバージョン。ベルリネッタより後に登場していることもあり、生産台数はGTBよりさらに少なく希少価値が高くなります。この個体は走行距離がわずか6000kmで、オプションも多く装着されています。ワンオーナー、記録簿付きともなるともはやマイナス要素が見当たりません。当然の高額買取例といえるでしょう。
(成約時期:2022年2月)
●F8トリブート
最後に紹介するのはICEのみとしては最後のピッコロフェラーリとなった、F8トリブートです。
こちらの個体は
グレード:-
年式:2021年
走行距離:4792km
というデータです。
F8トリブートの当時の新車価格は3328万円(オプション等除く)からでした。SellCaで実際に落札された価格は、なんと3910万円。残価率は1年落ちで117%です。
2019年に登場したF8トリブートは、V8搭載、そしてICEのみを搭載した最後のピッコロフェラーリとなりました。2022年にはすでに後継の296GTBが発売されましたので、生産期間もわずか3年未満(パンデミックの影響もあり)と少なく、流通している台数も多くはありません。これまでのV8フェラーリのなかでも特に希少価値が高いモデルだといえます。
この個体は走行5000km未満で、2021年の高年式。そして人気の赤ボディに加え、オプション満載ということもあり、一番売りやすい条件が揃っています。こちらもマイナス要素が一切見当たらない、優良物件だといえます。F8トリブートは、注文が殺到し早々に新車オーダーを打ち切ってしまったため、購入できなかった人が多かったようです。新車価格を超えた買取実績も納得の結果といえるでしょう。
(成約時期:2022年9月)
<文=青山朋弘 写真=フェラーリ/SellCa>