リセールの良いクルマと一言でいっても、いろいろな種類があります。需要が供給数を上まわるというのは大前提にあるのですが、世の中には予想もできないような買取値がつくクルマも存在するのです。そんな世界をちょっとでも見てみたいと思うのが、クルマ好きのサガ。実際どのくらいの残価率で取引されているかは気になる人も多いのではないでしょうか。今回紹介する5台は、過去セルカで実際に買取が行われた高額車両。どれもスーパーカーではありますが、そんな貴重なクルマたちが実際に買取されたリアルをご覧ください。
ここに紹介しますデータは、愛車買取オークションSellCaでの出品データから2000~2010年までのスーパーカーの売却実績について調査したものです。
調査機関:自社調査
調査日:2018年04月07日~2023年05月29日
調査対象:弊社で取引されたお車のデータ2,491件(2000~2010年製造までのクルマに絞って)
調査方法:自社保有データ分析 高額で落札されたものを上から5つ抽出(車種が同じもの、乗用車でないものは除く)
●アウディ R8
最初に紹介するのはアウディのフラッグシップスポーツ、R8です。
この個体は、
グレード:4.2FSIクワトロ
年式:2009年
走行距離:36,828km
というデータとなっており、新車価格は1617万円(オプション等除く)からとされていました。
SellCaで実際に落札された価格は、なんと700万円。新車価格からの変動があるとはいえ、10年落ちのクルマのリセールがおおむね10~20%といわれているなかで、12年落ちの個体が残価率40%を保っているのは極めて異例です。
R8は、ご存知の通りランボルギーニ ガヤルドとシャシーを共有する兄弟モデル。ガヤルドに比べるとリーズナブルな価格で、その走行性能は折り紙付きということもあり人気が高い1台です。生産台数がもともと少なくただでさえ希少なR8ではありますが、この個体はMT車ということもあり価値が上がりました。4000cc以上の大排気量でV8エンジン車となると、他ブランドも含めMT車は極端に個体数が減ります。新車時価格が2000万円までのスーパーカークラスでとなると、さらに数が少なくなりMT車というだけで希少価値が付きます。
(成約時期:2021年3月)
●フェラーリ カリフォルニア
次に紹介するのはフェラーリでもエントリーモデルとされていた、2+2クーペカブリオレのカリフォルニアです。
この個体は、
グレード:‐
年式:2010年
走行距離:21,053km
というデータとなっており、カリフォルニアの当時の新車価格は2360万円(オプション等除く)でした。
SellCaで実際に落札された価格は、1165万円。こちらも新車価格からの変動があるとはいえ残価率は約50%と、8年落ちでは考えられない残価率を保っています。
フェラーリのクルマは投資対象ともいわれるほどリセールが高いことで知られていますが、当時のエントリーモデルであったカリフォルニアも例には漏れません。コーンズの正規輸入車というのに加え、記録簿&整備手帳付き。出所やメンテナンス履歴が明確な正規品のフェラーリは、それだけで価値があります。それに加え人気のボディカラー「ロッソスクーデリア」にタンカラーのレザー内装の組み合わせ、2万km以上走行しているとは思えないような使用感の少なさも高評価に繋がっています。
(成約時期:2018年11月)
●フェラーリ F430
続いての紹介もフェラーリ。V8ミッドシップフェラーリの人気車、F430です。
この個体は、
グレード:F1
年式:2007年
走行距離:9,858km
というデータで、F430の当時の新車価格は2299万円(オプション等除く)からとなっていました。
SellCaで実際に落札された価格は何と1300万円です。スパイダーやスクーデリアなど、さまざまなバリエーションを持つF430。ノーマルのクーペモデルでも15年落ちで残価率60%は非常にリセールがよく、さすがフェラーリの人気車といった印象です。
世界的な景気や社会情勢などの背景もありますが、フェラーリはここ近年で価値が高騰しているブランドのひとつです。経年数関係なく、リセールが期待できます。F430は販売台数も多く価格が下がっていた時期もありましたが、この数年では高値で取引されています。この個体のように走行距離10000km未満で、なおかつ人気がある黒のボディカラーと赤の内装の組み合わせとなると、プラス査定に繋がります。
(成約時期:2022年1月)
●日産 スカイラインGT-R
次に紹介するのは、日産が世界に誇るモンスターマシン、スカイラインGT-Rです。
こちらの個体は、
グレード:GT-R VスペックⅡ
年式:2001年
走行距離:193,613km
というデータです。スカイラインGT-R VスペックⅡの新車当時の価格は574万円(オプション等除く)。
SellCaで実際に落札された価格は、なんと1354万円になりました。21年落ちで、かつ走行距離が19万km以上と、ほかのクルマであれば廃車になってもおかしくない状態ですが、新車価格を遥かに上まわる価格で落札されています。しかも明らかにノーマルではない、改造が多数施されているにも関わらずです。これはGT-Rを巡る特有の“バブル”が関係しています。
北米への輸入制限が解除される25年ルール(生産後25年以上経てばアメリカ国内に入れられる)を前に、正規で輸入されていなかったスカイラインGT-Rに注目が集まったのは第2世代GT-Rの初期モデル(通称R32型)の25年制限が解禁されるタイミングでした。映画「ワイルドスピード」シリーズや、ゲーム「グランツーリスモ」の影響もあり、北米のカーマニアから絶大なる人気を誇っていたGT-Rが、ついに北米市場で解禁される。そこに目をつけたアメリカの中古車バイヤーが、日本国内のGT-Rを根こそぎ買っていきました。そのせいもあり以後GT-Rの価格は超高値で取引されるようになり、このR34型もそれらの影響を受けています。このGT-Rバブルは、まだしばらく続くと予想されています。
(成約時期:2022年3月)
●BMW M3
こちらの個体は、
グレード:CSL
年式:2003年
走行距離:40,760km
というデータになっております。BMW M3 CSLの当時の新車価格は1150万円(オプション等除く)。セルカで実際に落札された価格は、なんと1454万円でした。
19年落ちでの出品でありながら新車価格よりも遥かに高額で落札されている理由は明確で、この個体が普通のM3ではなく「M3 CSL」だからです。ただでさえ高性能なM3を、110kg以上の軽量化を施すことによってさらに走行性能を磨き上げた特別なモデル。世界でたった1400台ほどしか生産されなかった激レア車であり、日本への正式な導入数も定かではありません。中古車市場では滅多にお目にかかれないほどの逸品。所有できた人は、間違いなく一生モノになるでしょう。価格が跳ね上がっていることは当然の結果ともいえます。
レアなクルマほど相場が分かりにくい傾向にありますので、気になるオーナーは7000社以上のバイヤーが登録しているセルカオークションに出品してみることをオススメします。
(成約時期:2022年3月)
<文=青山朋弘>