ジムニーの買取参考相場と傾向

軽自動車規格では唯一の本格クロスカントリー（クロカン）4WDであるジムニー。他を寄せつけない悪路走破性、コンパクトなボディサイズ、スタイリッシュなデザインなどでいつの時代も人気を得てきた、スズキを代表するモデルです。

4代目（JB64）

2018年に登場以来、常時1年以上のバックオーダーを抱えるほどの人気を誇る現行モデル。もう常態化してしまった納期遅延と、爆発期に伸び続ける需要の高まりにより、中古車市場では引く手数多の状態が続いています。中古車の相場は平均で200万円を超えている状況で、買取も同じようにかなりの高額で取引され続けています。

中古車価格では130万円代が最低ラインですが、50～80％が買取の平均だと考慮しても、買取金額は最低でも70万円以上は固いでしょう。しかも最低ラインの個体は10万kmを超えるような過走行車や、修復歴あり、雹（ひょう）害車なども多く見られます。少々のキズモノでも、普通では考えられないような買取価格となっている場合が多くなっています。

この先、シエラの5ドアが追加されたときに状況が変わるかもしれませんが、軽のジムニーに関してはそこまで影響がないのではと予想されます。フルモデルチェンジを迎えるまで、もしくは大幅な増産が行われ納期が短縮されない限り、この市場動向は続くでしょう。

3代目

登場から6年が過ぎても、いまだに納期遅延の問題が解決しない現行型の影響もあるのか、98年に登場した3代目の相場も比較的高めで推移しています。24年8月現在の中古車価格平均は、80万円ほど。年式を考えれば、異常なほど高額で取引されていることがわかるでしょう。

相場の平均走行距離が約10万kmと、距離を走っている個体が多いこともこの世代の特徴といえるでしょう。ラダーフレーム車なのでモノコックボディの他車に比べれば耐久性は高いですが、動力系や足まわりに異常があれば、最大の武器である悪路走破性が損なわれてしまいます。ボディよりもシャシーの不具合に配慮したほうが、高額査定が望めるはずです。

初代・2代目

87年デビューの2代目は、10年以上販売されたロングライフモデルでもありさまざまな仕様がありました。エンジンひとつとっても、当初は2ストロークの550ccでしたが、その後4ストローク化、ターボ追加と進化していきました。中古車市場に流通しているのは後期型がほとんどで、市場の平均年式は94年式。中古車販売価格の平均は約80万円と高額で取引されています。

なかには200万円以上のプライスを掲げる個体も見受けられる2代目ですが、後期モデルで好条件になればなるほど高額買取が期待できるでしょう。登録が90年代の個体でもネオクラシックに分類されますので、今後はさらに価値が上がる可能性もあります。

初代に関しては、もう現存している個体自体が少なく、完全にデッドストック扱いになっています。中古車の販売価格で100万円を下まわる個体が見当たらないほど高騰していますので、コレクターズアイテム化していると考えたほうがよいでしょう。

ジムニーの豆知識

ジムニーの需要は、他車と比べ特殊です。オフロード系の走行を重視するオーナーもいるので、カスタム車両でも高額で買取られる場合があります。これはカスタムを考えているユーザーが多いからで、販売店側もノーマルに戻さなくてもそのまま販売できます。ジムニーはこの傾向が他車よりも多く見られます。

ジムニーを高く買い取ってもらうコツ

ジムニーの1番の特徴は、悪路走破性です。ラダーフレームやサスペンション、そしてエンジンやトランスミッションなどの駆動系も含め、シャシーの不具合は必ず修理するようにしましょう。もし不具合がある場合は、完璧に直して査定したほうが高額買取につながりやすくなります。シャシー関連は、修理費が余程高くつかない限りなるべく修理して査定したほうがよいでしょう。

内外装の破損や傷は、どちらかというと内装のほうが重要視されます。ハードな使い方をされると想定される車種ではありますが、シートやシフトブーツなどが破損しているような小さなことでも、査定がマイナスになることがあります。内装はなるべくきれいな状態で査定するようにしましょう。

対して、外装は多少の小傷程度ならそこまで査定に響かない可能性があります。元々ジムニーは悪路を走るためのクルマ。特にオフロードコースで遊ぶ人や、林業などの業務で使用する人たちにとっては、小さな傷よりも駆動系や動力系のコンディションが重要になります。外装を直す予算があるのなら、シャシーやパワートレイン系のメンテナンスに充てたほうがよいかもしれません。

モデル特徴

ラダーフレームを持つ本格クロカン4WDのジムニーは、軽自動車で唯一の存在。1970年に登場以来、54年の歴史を持つスズキの代表車種です。現行モデルは4代目で、2018年にデビューしています。

本格クロカン車は、トヨタ ランドクルーザーや日産 サファリ、三菱 パジェロなど大型のSUVがメインでした。そのなかで、ジムニーは異質の存在です。ラダーフレームに縦置きエンジンと副変速機付きパートタイム4WDを組み合わせる、本格的な構造を持つクルマでは最小サイズです。どこでも走っていけるコンパクトさは、林業や送電設備管理などのプロの道具としても重宝されています。

現行4代目は、発売当初からバックオーダーを抱える盛況ぶりで、納期1年以上の遅延が今も続いています。国産車では異常な状況で、これの影響で中古車相場も異常なほど高騰している状況です。4代目全体の中古車価格平均は、200万円を軽く超えているほど。新車販売価格を上まわる金額で売られていることも多く見受けられます。

買取市場でも4代目ジムニーの人気は高く、高額で取引されるケースが増えています。セルカでの買取実績でも、それまでは40万円以下だった最低価格が、19年式から一気に80万円近くにまで上がっています。買取の最高価格は24年8月時点で239.3万円と、現行の軽自動車では異例の高額買取実績を残しています。年式や走行距離などは多少なりとも影響してきますが、全体的に需要が高い4代目ではそこまで大きな差になっていないのが現状です。

ジムニーの人気カラー

現行型では登場当時から一番人気が、ジャングルグリーンという濃い緑でした。それは今も変わらずです。次いでの人気は、シフォンアイボリーメタリック、ミディアムグレーと続きますが、どれもアウトドアシーンが似合う色というのが特徴です。

一般的に人気の高い、白、黒、シルバーは、ジムニーではなぜかあまり人気がありません。傷や汚れが目立つ、業務用に見えてしまうなど理由はさまざまですが、アウトドアギアのような色のほうが単純に人気があるというのが理由のようです。

ジムニーの人気オプション

アウトドアシーンでの使用や、オフロードコースの走行、業務用とさまざまな用途で使用されるジムニーには、オプションも豊富に揃っています。これらのオプションは査定時にプラスになる可能性がありますので、まずは外さない状態で査定に臨むほうがいいでしょう。

カータープ

テントなどアウトドアギアブランドの老舗「ogawa」とのコラボレート商品。車両の後方バックドアに取り付けて使うタープで、アウトドアシーンで重宝するアイテムです。4万5100円と高価なオプションですが、独立式タープよりも丈夫という点や、ogawaブランドも相まって人気が高いオプションです。

ベースキャリア

ルーフに荷物を積載するためのラックなどを取り付けるための、アタッチメント取付キャリア。例えばスキーやサーフボードなどを積載する場合、このキャリアにアタッチメントを固定して使用します。ラゲッジルームが限られているジムニーに多くの荷物を搭載したいオーナーにとっては、必須アイテムになっています。

ルーフラックアタッチメント

前述のベースキャリアに取り付ける、専用のアルミ製積載用ラック。トレイ型のラックにはさまざまな物を載せることができるため、多目的に利用できます。ラゲッジスペースの積載量を増やしてくれるアイテムです。

マッドフラップ

文字どおり泥跳ねを防止するため、タイヤの後方へ付けるフラップ。小石などの跳ねも防いでくれるので、悪路走行時にボディへの傷付きを防止する役目も持っています。ただし、オフロードコースへは入れなくなりますので、ご注意を。

バックアイカメラ

後進時の視界を助けるバックカメラ。背面にスペアタイヤを背負っているジムニーは後方視界があまりよくありません。視界を補うカメラの映像は、9種類用意されているディーラーオプションのナビゲーションに映し出すことができます。

ジムニーの人気グレード

4代目ジムニーは3つのグレード展開。3グレード間で動力性能の違いはなく、装備の面でのみ差をつけています。納車遅れが常態化していることもあり、3代目以前のような限定車や特別仕様車がまったく登場していないという点も4代目の特徴です。

XG

XGは一番ベーシックなグレードで、上級グレードに比べ装備が簡素化されています。フォグランプやプッシュスタートシステム、電動格納式ドアミラー、シートヒーターなどが非装着となり、リアシートは左右がつながった一体式となります。グレードの人気としては一番下ですが、価格が安価なため林業などの事業用や、カスタムベース車などで需要が高いグレードです。

XL

XLは3つのなかの中間で、人気も2番目のグレードです。XGが付いていない装備が標準化されるほか、リアシートは5：5の分割可倒式へと変わります。外装ではドアハンドルがカラード化しドアミラーもブラック塗装が施され、スモークガラスが標準装備となります。

XC

XCは1番人気の最上級グレード。ウインカー付きドアミラーやLEDヘッドライト、アルミホイールなどで差別化が図られ、内装では本革巻きステアリングやステアリングオーディオスイッチ、クルーズコントロールなどを標準装備化しています。上級グレードらしく、メッキの加飾がエアコンレジスター部やインサイドドアハンドル、パーキンブレーキボタンなどに施されていることも特徴です。

特別仕様車

スズキの四輪車はモデルライフの途中に、販売のテコ入れとして特別仕様車が投入されることが多く、ジムニーも3代目までは設定されていました。ランドベンチャーやクロスアドベンチャー、ワイルドウインド、などが3代目では登場しましたが、ランドベンチャーが1番個体数も多く人気があり、高額で取引されています。